皆さんは医学英語をどうやって勉強していますか?
日本語の教科書もたくさんあるとはいえ、良質な医学書で英語版しかない本も多いです。また、医学論文のほとんどは英語で書かれており、英語の学習は避けては通れません。
生成AIが台頭し、翻訳の精度も高くなったのでニーズは減るかもしれませんが、正しい翻訳か判断できることや、会話の際の即時性を考えると、英語学習のニーズはなくなることは考えにくいですよね。
私は留学やUSMLEの経験はなく、あくまで日本で医学英語を勉強してきました。英検準一級、その後英会話教室に通い、TOEFL 99点まで上げましたがExpireしています。スピーキングが足枷となっていますが、リーディング・リスニングに関しては比較的安定して得点を取れています。
日々のインプットのための英語という視点では、リーディングとリスニングのスキルを磨くことは大切だと感じており、私なりの勉強法をお伝えできればと思います。
コンセプトは、『「英語を」勉強するから、「英語で医学を」勉強するという価値転換』です。
なぜあえて「英語で」学ぶか?〜単に英語力向上のためではない〜
一度は疑問に思ったことがありませんか?なぜ英語であえて学ばなければいけないのか、と。確かに、日本語で医学を勉強するコンテンツもたくさんあります。
しかし、英語の教科書の方が内容的にわかりやすいことも多いのです!
私自身、一番実感したのは医学生の頃に小児科を勉強しているときでした。当時は小児科に進むことも考えていたので、しっかり勉強したいと思っていました。さすがにとてつもなく分厚いネルソンを原著で読むことはできませんでしたが、教授推薦の「Illustrated pediatrics」という初学者向けの教科書を通読しました。感動したのは内容がとてつもなくわかりやすかったことです。
当時、日本語の教科書でここまで体系的にまとまっている本は知る限りありませんでした。
要点を翻訳してノートにまとめていました。なかなか時間がかかって骨の折れる作業でしたが、英語の本を読む基礎体力が養成されたと思います。
Reading~おすすめの教材 ランキング 3選~
英語のための勉強時間をほぼ取らなくなりました。そのかわり、
・臨床上で気になった疾患について勉強するときに、レビュー論文を英語で読む
・New England Journal of Medicineの論文やケースを英語で読む
・英語の成書にチャレンジする (これは通読がしんどく、つまみ読みになってしまうことも多い)
など、英語を素材として医学を勉強すると一石二鳥です。
医学用語も頻出するので、効率よく専門用語を勉強することができます。
また、NEJMの英語は英語としても綺麗だと、昔翻訳をお仕事にされている方にお聞きしました。
論文はイントロダクション・メソッド・リザルト・ディスカッションと順番が決まっているので、次にどんなことが書かれているか想像がしやすいため、読みやすいです。
(医学生の頃は医療ミステリーを一冊通読するという宿題が出ましたが、小説を読む方がかなり大変でした。)
臨床の勉強にもなるおすすめ教材をランキングしてみました。
第1位: New England Journal of MedicineやJAMAのnarrative review
臨床的なトピックに関して良質なレビューがあげられており、非専門医が効率よく学ぶにはよい素材です。教科書より短いため通読しやすいです。LancetやBMJより、NEJM、JAMAのreviewの方が読みやすいため1位としました。
第2位: NEJMのCase record, Clinical Problem Solving
症例提示の英語を学ぶことが出来ます。また、実際のケースでどう考えるか?臨床推論の力をつけることができるため、臨床医にとってはとても良い教材と思います。
第3位: NEJMのoriginal article
初めて抄読会で原著論文を担当する場合は、NEJMのoriginal article、特にランダム化比較試験を読むのが読みやすいと思います。四大誌はいずれも質が高い論文ばかりですが、一つ選ぶならNEJMがとっつきやすいかなと思いました。
第4位: UpToDateの”What’s new?”
UpToDateを翻訳せずに読むのも日常臨床に即していて良い方法だと思います。最新の情報にキャッチアップしたい場合は”What’s new?”のセクションをチェックすると、最新の論文の要約が分かります。リンクがあるので、そこから原著論文にチャレンジすることもできます。比較的インパクトの大きい一流誌からの情報であることが多いため、抄読会のネタ探しに困ったらのぞいてみるのもよいかもしれません。
第5位: Harrison’s internal medicine
成書も1つくらいあげたい、ということでいわずとしれたハリソン内科学です。原著を通読することはとてもできていませんが、たまに気になる疾患や症候を通読するのにハリソンを読んでいます。「ハリソンを読んだ」ということで自己肯定感が得られるかもしれません。
英語の成書としてご自身の専門分野の本にチャレンジするのはモチベーション的によい方法だと思います!私は家庭医療に興味がありマクウィニーを読んだり、ダニエル・オーフリの書籍を英語で読むのにチャレンジしたりしています。
Listening〜Podcast のススメ。おすすめランキング5選〜
高校時代まではdictationやshadowingをよくしていました。
医学生のときにPodcastを勧められてから、医学に関するものをよく聞いています。
・長すぎると集中力が切れてしまう
・スクリプトがないと、あとで確認できない
・音声が聞き取りにくいものがある
など色々試行錯誤した上で、おすすめのものをあげます。
個人的見解ですが、取り組みやすいpodcast教材をランキングしてみました。いずれも無料です。
1位: Harrison’s podclass
(内容)症例提示→症例に関するクイズ→答えと解説
(長さ)10分程度
(更新頻度)定期的に更新あり
(スクリプト)入手可能
(推しポイント)臨床に即しており、症例提示の生きた英語を学べる。症例クイズの難易度は症例問題としては難しすぎず、継続しやすい。スクリプトもあって勉強しやすい。
2位: NEJM This week summary

(内容)最新のNEJMの記事の紹介
(長さ)30分程度
(更新頻度)週1回
(推しポイント) NEJMの内容をレビューできる。英語がきれいで聞き取りやすく、速度も速すぎない。
きれいな英語でNEJMのサマリーなので良質なのは間違いないです。
1人のナレーターの方がずっと読み上げており、単調で眠くなってしまうため2位としました。
3位: JAMA clinical review
(内容) JAMAのnarrative reviewをとりあげていただいている。
(長さ)15-20分程度
(更新頻度) 定期更新あり
(推しポイント) たまに臨床的にも勉強したいトピックを取り上げてくれることがある。最近だと梅毒や副腎不全の総説を耳から聞けるという利点あり。内容によって臨床的な関心に波があるため、第3位としました。JAMA系列にはJAMA Editor’s summaryという別のpodcastもあります。こちらはNEJMのthis week summaryと似ていて、記事全体の概要を説明してくれているものです。個人的には1つのトピックを深掘りするJAMA clinical reviewの方が好きです。
4位: Annals on call
(内容)Annals of internal medicineに掲載された論文の著者を招いて、司会のCentor先生と軽妙なやりとりが繰り広げられる。
(長さ)20分程度
(更新頻度)定期的
(推しポイント)あの有名なCentor Criteriaを開発したCentor先生です。有名な先生の声が聞けることでテンションが上がります。
著者の先生によっては、私の英語力ではききとりにくいことも多く、回を選ぶために第4位としました。
第5位:Public Health on call

(内容)Johns Hopkins大学のSPHよりパブリックヘルスに関するトピック
(時間)15分程度
(更新頻度)定期的
(推しポイント)臨床医学ではなくパブリックヘルス系の勉強、面接対策や時事ネタにも使えるかもしれません。臨床に比べてやや関心が薄く、聞かなくなってしまいましたが、公衆衛生系も入れたいため5位としました。ハーバードのBetter offというpodcastは最近更新されていないようです。(2025/11/1現在)
Lancetも公衆衛生や政治に関わるようなトピックを扱ったpodcastを配信しています。
BMJもpodcastを配信していますが、40分くらいあり私には聞き続ける集中力がないためランク外としました。
いかがでしたでしょうか。皆様の英語の勉強法を教えていただければ幸いです!


コメント